アパレル業界の仕事はどういうものかというと、衣類の製造をしてそれを流通し、販売することです。世の中において「衣食住」と言われるように、人間が生活をしていく上では、衣類は絶対に必要なものですし、様々なシーンで様々な衣類を着るケースがあり、フォーマルな席だけではなく、通勤通学などに着ていく衣類など、様々なシーンがあります。

アパレル業界の実情

アパレルの場合は衣類を扱っていることもあり、文化とともに変化が激しく、消費者のニーズも目まぐるしく変わることもあり、また流行やブームなどで売上が大きく変わります。また、シーズンのイベントによっても大きな影響を受けることが多く、例えばクリスマスシーズンにはプレゼント需要がありますので、売上を大きく伸ばす一方で閑散期という時期もあります。また、流行に敏感でないと消費者のニーズに対応できないため、商品の鮮度を強く求められ、常に新しい価値を要求されるのも、アパレル業界の宿命と言って良く、非常に激しい業界ということが言えます。

アパレル業界の課題

このように華やかさが目立つアパレル業界ですが、内包している課題は様々で実際にどのような課題があるのかということをご案内します。

戦後日本は敗戦の復興のため、いい繊維を使い、機能性も高く色鮮やかなものを開発することで消費を刺激した時代がありました。ところが、現在はインターネットが標準の情報インフラとして浸透していることもあり、消費者が簡単に情報を入手することが出来るため、消費動向も大きく変わりました。つまり、いいものだったら何でも買うということよりも、自分の欲しいものを買うという消費志向になっています。これは、質のいいものだから売れるということではなく、今は情報が溢れていることもあり、消費者はそれを選別出来るようになり、その結果消費者が満足するか、あるいは消費者が必要としているものでなければ、お金を使わないような時代になってきました。したがって、アパレルメーカー側も賢い消費者が満足するだけではなく、消費者に対応した販売計画を立案する必要になりました。

もう一つのアパレル業界の課題は、業界が2極化しているということです。つまり、消費者が求めているものとして、安くて品質の高いものを求めているということと、企業ブランドを重視して衣類の個性をアピール出来るということです。その状態がどのように具現化しているのは、まずアパレル業界のトップ1とトップ2がユニクロを展開するファーストリテイリングとしまむらであるということです。この2社は低価格で品質の高いものを提供することで消費者のニーズを掴みました。一方で他のアパレルメーカーもこの2社に追従することなく、自分たちのブランドを強く意識したものを製造して、供給し、やはり消費者のニーズを掴んでいます。ただ、衣類は消費者のニーズや嗜好に大きく左右されるので、今の状態が永遠に続くということは考えられません。常にユーザーのニーズを把握するだけではなく、自社のブランドによって自らニーズを作り出していくような、日々将来を見据えた戦略を立案し、実行していかなければ、業界のシェアを広げていくのは極めて難しいというところも、アパレル業界の課題です。

アパレル業界の将来性

一方でアパレル業界は、冒頭でもご案内したように衣類が生活に絶対に必要なものであるため、不景気になり、ものが売れない時代になっても、アパレル業界はその規模をそれほど推移することが出来てきたということは過去が証明しており、それは平成17年から25年までのアパレル業界の売上の推移は、緩やかながら右肩上がりということもあり、この時代においては金融不況や東日本大震災、欧州の債務危機など経済に大きな影響を与える出来事があったことを考えると、アパレル業界は不況に強い業界であると言えます。以上のことからアパレル業界は消費者のニーズさえしっかりつかめば、今後もアパレル業界は伸張していく事ができるといえるでしょう。